真っ黒こげ太郎

ファイナル・デッド・ツアーの真っ黒こげ太郎のレビュー・感想・評価

4.5
出会った優しいおじさんは、人食いモンスター。

午前0時、キス…じゃなくて人食いに来てるよ!!!




無名なインディーズバンドの、ジュディ、メル、マックスのボンクラ三人組。
彼らは経験を積むためにツアーを企画するが、借金のカタで車を盗られてしまう。

仕方なく車を貸してもらうためにチラシを配っていたら、ペッカーヘッド(”変人”という意味)、と名乗るオッサンが快く運転手になってくれた。
かくしてジュディ、メル、マックス、そしてペッカーヘッドことペックのボンクラ四人組でツアーに出発!!!

色々あってどうにか最初のライブの準備を始めるが、どーにも上手くいかない。
そんな中、ペックが突如トイレに行ってくるといい、三人の元を離れるが、やたらと帰りが遅い。
ジュディが様子を見に行くと、そこには怪物化してケチなプロモーターをムシャムシャ食ってるペックの姿が!!!
実はペックは毎晩12時になると人を喰う食人鬼に変身してしまうのだ!!!

ジュディは物凄い勢いでビビるが、メルとマックスは彼を仲間として迎え入れる気マンマンで、ペックもバンドの曲を気に入って皆の為に働く気マンマンだった。

そんなこんなでツアーを続行することになった一行。
果たしてこの血みどろな珍道中の行方や如何に。




インディーズバンドの三人組と、深夜になると食人鬼になってしまう運転手のオッサンが、ライブツアーの旅を繰り広げる、ほのぼの・ホラー・ロードムービ。
お馴染みプルークさん配給、GEO先行の血みどろホラー。
因みに某ディスティネーションな邦題ではあるが、当然の如く関係ありません。w


お話的にはロードムービーの一種に入るのかね?
人気も金もないボンクラバンドが、途中で知り合ったオッサンと共にツアーの為に、笑いあり、パンクあり、グロゲロあり(!?)のドタバタ珍道中を繰り広げる。
冒頭で「実話に基づく物語」とか言ってるが、最初のグログロ死体の時点で明らかにウソだろ!!!wwww

今作の目玉であるペッグおじさんは、バンドの曲を気に入ってくれるし、コーヒー買ってきたりお菓子作ってくれたり、仲間達とも明るく接してくれる一見ノリが良くて気の良いおじちゃんだ。
そんな彼も深夜になると、人体をグチャクチャにして肉を貪り食う怪物に大変身する!!!
本人曰く「深夜の30分だけだ!」「注射で抑えられるし、感情の抑制は出来る!」「嫌な奴で許せんかった!仲間の為にやったんだ!」と言っており、仲間に危害を加えず、喰われた人間はイヤな奴だけなので間違いなく本心ではあるだろうけど、こんなヤバいのと一緒にいると気が気じゃないと思っている主人公は正しい。w
まぁ、他の2人は「悪いヤツが食われただけだし別にいいか!」と気楽に構えているが。

そんなワケで主人公は食人鬼おじさんの存在にビビりながらも旅するのだが、何だかんだで旅の中で仲良くなってくるのが良いね。
最初は車の鍵を奪おうとする(んでおじさんに拒否られる)が、最終的におじさんの方から鍵を託したりしてくれるし。
旅を彩るメタルロックも普通にいい曲で聞き入った。

またあちこちでグロゴアも振るっており、腕を食いちぎるわ、脊髄ごと首を引き抜くわ、心臓や内臓も抉るわで数は少なくともいい感じのスプラッター描写が展開。
更にはズボンを下げて茶色い飛沫を噴き上げるというトロマ映画みたいな汚いシーンもあるぞ!!!w
(作中で「悪魔の毒々モンスター」が流れてる辺り、確信犯な気がする。)

そんな感じで血みどろなシーンを挟みながらも、ほのぼのしたノリで物語は進むのだが、旅の終わりの直前に起きた事件を機に、一気に雲行きが怪しくなってゆく。
そして最終的に物凄く不穏で恐ろしいオチへ進んでいく…。
前半が、ってか物語の7割ぐらいが明るいノリで進んでいたので、一気にダークな方向へもって行かれたのは結構驚きましたね。


登場人物はキャラ立ちしてるし、彼らのテンポの良い仲良し珍道中も楽しい。
グロゲロも振るっており、最後にはホラーとしてもしっかり見せてくれるという、実に楽しい一作で、私的にはかなり愉快でしたっす。


ただ、コメディ描写に関してはドッカンな爆笑!というよりはシュール気味なノリなので、コメディとしては若干微妙な所はありますね。
後、のんびりしたノリで進む物語は人によっては退屈かもしれませんし、クライマックスの展開は人によっては胸糞悪くなるかもしれませんね…。

まぁそこら辺を踏まえても、スプラッター多めなB級ほのぼのコメディホラーとして楽しめました。
GEO先行の中では当たりの部類なので興味があれば是非。