教育的な説教くさい始まりと締め。
50分の短い作品。
地元の教会に依頼されて作った公共広告。
成程、仕事だったわけだ。
が、
しかし、
独特の表現で仕上がってしまった笑
多分、頼む人間違えたな。
完成品の試写観てみんな怖くなったらしい。
それでお蔵入りと。マジかよ。
いや、怖いよ。
ロメロファンとしては何かしら遺物が発掘されたのだから嬉しい結果なんだが。
パンフのノーマン・イングランドの解説によると、かなり下調べと調査、インタビューを行い、最終的にインパクト路線でコンセプトが決まったらしい。
デザイン思考の結果ですよ。
全編老人に対する社会全体の不誠実さを遊園地の各アトラクションを比喩として使って描いていく。
その積み重ねがやりすぎな悪夢。
逃げ込んだ教会も営業時間終了で門前払いされる笑
近づいてくる死神の影。
いや、老後と死の恐怖を今回のお仕事でここまで描かなくても…という強烈な陰鬱さで迫ってくる。
老人たちにパン分け与えたらぐちゃぐちゃと引っ掴んでいくあのシーンが怖かった。
やり過ぎた表現は老人達をどんどんどんどん醜悪に描いていくのである。
そこまで描いておいて老人を大切に?
人生そのものがホラーじゃないか!
いや、これが私たちの心の鏡なのだ。
クーダ神父が陰陽、老後のタイムループ的持て余す時間の恐ろしさを表現。
ああ、マーティンも観たかった…
劇場ものとは違う側面のロメロ。
作品としてなんだ、という事ではないが、ロメロを理解する資料としては超面白い。
けど何度も観たくない現実の恐ろしさ。
改めてJAROとかの宣伝思い出してそこはかな怖さがあった事を思い出す。3.11の時のリピートされたCMとか。
公共広告の持つ空虚さにも既に怖さのパワーが内在しているのを再確認。
そう、結果、公共広告としては 成功 ではないか。