GT

アミューズメント・パークのGTのネタバレレビュー・内容・結末

アミューズメント・パーク(1973年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

 どうやら啓蒙・教育目的で作られた映画らしく冒頭で主役のおじいさんがこの映画が意図していることやキャストのことなんかを丁寧に説明してくれる。老人が被る不運を「遊園地のアトラクション」に例える映画とのこと。
 正直、舞台を遊園地にしたことが効果的に作用しているとはあまり思えなかった。ゴーカートでで接触する事故を起こすのはわかるが、普通に警察が来て保険の話なんかをし始めたら、それは普通に車の事故と変わらないのでは…。「高齢者優先」と書いてあるアトラクションの先へ進むと、そこは老人ホームで、おじいちゃんおばあちゃんが介護を受けているという描写も、遊園地である必要性が感じられずうーんって感じだった。
 「老人に起こるであろう不幸の種類」にも、少し疑問が残った。子供に近づくと変質者呼ばわりされるのは、老人ではなくどちらかというともう少し若い中年男性ではないか?若者とは、それほどまでに老人をいたぶるのか?尤も時代も国も違うから、これは一概には言えないかも。
 監督が「ゾンビ」で有名なジョージ・A・ロメロであり(ごめんなさい。まだ一作も見たことがありません)、その演出面は啓蒙目的の作品とは思えないほど尖っている。そもそも遊園地を用いて老人の悲哀を表現することからして奇抜だが、劇中の老人への扱いの酷さは中々の物であり、次第に疲弊していく老人の様は痛々しくて見るのがちょっと辛くなる。ラストでは主人公は遊園地から帰還し、元いた白い部屋に戻ってくる。すると、元気だった頃の主人公が現れ…と、無限ループ。「あなたもいつかは老いる」。ラストで遊園地に向かっていったのは、ひょっとしたらこの映画を見ている、若き我々なのかもしれない。
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