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アミューズメント・パークの顔のレビュー・感想・評価

アミューズメント・パーク(1973年製作の映画)
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"あなたもいつか老いる"

ゾンビ映画の生みの親、ホラー映画の大巨匠、ジョージ・A・ロメロによる社会風刺映画。
社会そのものをアミューズメントパークという娯楽施設に落とし込み、若い人間たちの冷淡さや社会制度/整備の問題、貧困による格差、老いによって対面するさまざま冷遇をアトラクションというフォーマットを通して描いている。

主人公が遊園地をまわるだけで、映像としてのエンターテイメント性はあまり高くなく、ホラー映画特有の残酷なシーンなども一切ないが、老人を襲う理不尽がやけにリアルで精神的な不快感が終始続く。

主人公を演じた俳優、リンカーン・マーゼルが人間同士の交流について問題提起するシーンがアバンタイトル前とエンドロール前に挿入されるが、これが非常に印象的。

この作品を観て感じた不快感はおそらく私が何十年か先に感じるものなのだろう。
問題に関心を持って行動してほしい、と冒頭に語られた通り、この映画はまだ老いを知らぬ者たちに向けた種として作られたのだと強く感じる。

めちゃくちゃ真面目な映画だな、これ。

"遊園地の最後は冷たく白い部屋でなくてもいい"
"いつか遊園地で会いましょう"
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