年齢差別や高齢者虐待について世間の認識を高めるため、ルーテル教会がロメロに依頼した企画。
しかし、そこはロメロ。施設で暮らす老人や関係者を起用し、老人の悲惨な状況をストレートで容赦なく描写しています。
イントロダクションの後、本編がスタートするや否やズダボロになり肩を落としている老人の姿が映し出される。「外には何も…何も…何もないんだ」と嘆きながら呟く老人。彼はなぜこのような姿になったのか…。
現実世界を遊園地に模してエクストリームに描写された、ディストピアでのリッチではないが善良な老人の姿は、高齢者が人口の多数を占める現代日本にも当てはまり、ホラー映画ではないがゾッとさせられます。
老人が呟く「あなたもいつかは老いる」は他人事ではないのだ。
日本公開時は1973年に手掛けられながら封印され、2021年に発見されたという希少性も話題でしたが、いつかは自分たちも年を取るという現実を突きつける真摯な作品としても必見です。
