序盤での一人二役の奇妙な使い方をはじめ、遊園地で買い物もレストランも見せ物もピクニックもリハビリセンターもやってしまうという超強引な展開は老人を大切にしない人間への批判というディストピアなテーマを突き破って『有吉の壁』状態に。そして登場するネタがもう中学生や鳥居みゆきよりシュールすぎて有吉から全部×を貰いそう。
でも内容がぶっ飛んでいる割にはお年寄りが彼らを理解しない一般市民に虐げられるという製作者側から要求されたドラマのラインはしっかりと守っているしそのうえ何の工夫もなく老人がひどい目に遭うだけなので鑑賞していてしんどくなってきてしまった、ホラー映画のときと変わらぬカメラワークといいそういう意味ではロメロ監督は社会派映画という題材に全く合っていない人間なんだろうな。
でもそんなあまりにも表層的な老人いじめよりも、後半の老人を冷たい目で見てくる少女の視線(あれもエキストラ？)と老人がただ出てくるだけの見世物ショーは自分が老人になったらこうなるのかと胸をつかれた。
バイクが遊園地に出てくるシーンがその前まで大量にエキストラがいたのにその場面だけ誰もいなくなるというあからさまに別撮りとわかる仕様になっていて苦笑、別に大した場面でもないからカットしてもよさそうなのにそれでも強引に本編に入れてしまったのはドラマに刺激をもたらすためだったのだろうか。
