チーズ

緑子/MIDORI-KOのチーズのネタバレレビュー・内容・結末

緑子/MIDORI-KO(2010年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

アパートに住む、一人の野菜売りの学生の少女。ひょんなことから野菜の形をした不思議な赤ん坊を育てることに。

同じアパートの住人や外の人間に何度も赤ん坊を食べられそうになるが、必死に健気に守り抜く。

次第にアパートの住人たちに一斉に狙われるようになり、ドタバタとしているうちに、赤ん坊は巨大な野菜へと変化する。赤ん坊に群がって食らいつく人々を一人で必死に追い払おうとする主人公。格闘しているうちに近所のおばさんから一口突っ込まれ、赤ん坊野菜の美味しさに目覚めた主人公は、赤ん坊野菜を独り占めをしようとする。他の者たちには絶対に渡さない。私が育てたんだから。

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マンテーニャの星が頭から離れない。
手描きのアニメーションでムキムキと踊る裸人たちは、なかなか芸術的な迫力があった。唐突に出てきて踊り出してばかりの彼らだったが、その訳わからなさが不気味で、ちょっと愛おしくも感じられた。面白い。

冒頭の幼いピュアな主人公が、お肉はかわいそうだから食べないと言っていて、おそらくそれを学生になった現在でも(ベジタリアン)を続けていたと思うのだが、最終的には赤ん坊を食べてしまう、というのが
、なんだか寂しかった。他の頭のおかしい住人たちと違って、常人(赤ん坊を野菜では無く赤ん坊として見ている)だった主人公。ずっと、生き物を食べるのはかわいそう、という幼いころからのポリシーを貫いていた彼女を、食欲という本能があっけなく飲み込んでしまう。鑑賞者に一番近い立場にいた彼女が、あっという間に欲という大きな流れに飲み込まれていく姿は見ていて切ない気持ちになりました。

映画などの作品は、なるべく、娯楽というか、楽しんで見たい気持ちがあり、メッセージ性というものはあまり普段考えないが、この物語に関してはもう少し自分の中で掘り下げてみたいと思った。
チーズ

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