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ブラックボックス:音声分析捜査のsymaxのレビュー・感想・評価

3.7
最新型航空機による原因不明の墜落事故…

その真相に迫るのは、回収されたブラック・ボックスを解析する音声分析官マチュー。

人並み外れた聴覚と頭脳を持つマチューでしたが、事実を解明したいと思うあまり、異常なまでの執着心を抱くようになり…

果たして、墜落の原因は、事故か?テロか?それとも…

"音"のスペシャリストが、その"音"だけで事の真相を暴いていくのかと思いきや、中盤以降は、その背後にある闇が徐々に侵食していき、実に凝っふた作りのサスペンスが展開されていきます。

主人公マチューは、天才肌の分析官ですが、優秀であるが故に、人を小馬鹿にしたような態度がちょいちょいあって、あんまりトモダチはいなさそう…それに異様に執着心が強くて、自分が判断を下した結果が常に正しく、失敗を認めず謝りもしない。

マチューの選択はどこまでも利己的で、実に"嫌な奴"…また、その強すぎる執着心が故にマチュー自身が追い込まれ、危うい精神状態に陥っていきます。

"音"の分析による真相解明であるが故に、密室劇を想像してしまいがちでありますが、観客の予想を軽く越え、張り詰めた雰囲気でヒリヒリする中、二転三転する構成は実に見事で、見応えのある作品です。
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