matchypotter

ブラックボックス:音声分析捜査のmatchypotterのレビュー・感想・評価

4.1
ピエールニネ。
この間観た『イヴ・サンローラン』の彼。
彼の端正で面長で鼻が大きめのメガネの出立ち、なかなか印象に残る。

エイドリアンブロディとか、トビーマグワイア的な“普通の男だけど普通ではない”感が漂う感じ。

“ブラックボックス”。
航空機に備え付けてある音声記録の装置。墜落事故やテロなどで機自体が損壊しても必ず残り、後に通信内容や機内の状況を把握するための重要な機材。

序盤にそのブラックボックスそのものが出てくるが、初めて見た。
そういう風になってるんだな。とはいえ、機密事項もあるだろうからこれが全貌ではないだろうけど、ブラックボックスから音声記録のデバイスを引き抜く短いシーンはなかなか観たことないから興味深い。

というか、外見が“ブラック”ではなく“オレンジ”なのが意外で、蓋を開けたら黒い緩衝材みたいなのが、これが“ブラック”の由来なのか。

他にも色々挟まってて、独自の緩衝材などが入ってて、“絶対に壊れない”感があった。

最新鋭の航空機が謎の墜落をする事故が発生。しかし、音声分析官として有能すぎるあまり、上司と摩擦があって本来は同行するはずが担当を外されるマチュー。

現地で“ブラックボックス”が回収されるも、その上司が謎の失踪。
そこで、再び有能なマチューに依頼が回ってくる。

最新鋭の航空機の技術トラブルが疑われる中、マチューはその音声と、機内で電話をかけた女性の通話音声を聞き、違和感を覚える。

“コックピットに誰かが侵入した”。

この疑惑を持ち、事故ではなく、何らかの事件性を疑いながら音声分析を続け、やがて触れてはいけない真相に首を突っ込んでいく。

音声分析。
あくまで、起きてしまったことを後になって分析しているその作業。

だけれど、その当時の生々しい情報が入っている音声のリアルさ。それをマチューの分析作業を通してとても臨場感たっぷりに伝えてくる演出力がとても良かった。

音声に耳を傾け、没入し、あたかもその現場にいて“検分”してるかのごとくのシーンがとても印象的。

彼の仕事の能力の高さと、機内で起きたことの生々しさが非常によく伝わってくる。

電話オペレーターや音声分析などの現場と離れた“音”を頼りに事件を解決に導く作品は他にもいくつかある。
が、この作品は、もちろんそこを前提としメインの要素としていながら、マチューがしっかり得た情報を元に動く。

だから、部屋に閉じこもって真相を暴くスタイルだけでもなく、ちゃんと推理しながら捜査するサスペンス性がある。

さらに、マチューと上司の確執、その上司の失踪、妻とのやりとり、、、。
墜落事故に加えて、自らの身の回りの人間模様もあったりして、ドラマ性も並行している。

色んな要素が絡み合いながら事件を捜査し、陰謀の影がチラついてくる流れがとてもハラハラする。

果たして、事故なのか、テロなのか、、、はたまた。
事故現場、つまりは機内の臨場感と、事後の捜査として見え隠れする大きな陰謀に対し、色んなものを犠牲にし身を削り心身共に苛まれながら孤軍奮闘するマチューの執念。

かなり切迫して、巨大な力の前に為す術ない絶望感と、それでも真実を知りたい探究心と行動力と、、、正義。

要所要所で“ブラックボックス”収録の音声を聞くシーンがあるが、話が進むたびに、同じ音声なのに、新たな情報が聞こえてきたり、同じ言葉が違う意味になったり、現場の状況に進展があって鮮明になったり。

思ってた以上にサスペンスがハラハラドキドキのめり込める良い映画。
上司の謎の失踪の伏線も回収される。
自分がマチューならと思うとメンタルやられてると思う。

この映画のジャンルがサスペンスではなく、スリラーなのも、少し納得。

※24年3月、映画オススメブログ、始めました。
●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○
『matchypotterと映画の秘宝』
https://matchypotter.com/
作品単発のレビューはここでやっているので、こちらは企画記事メインに挑戦したいと思います。
皆さん、時間がある時にでも見に来てください。
(まだ始めたばかりでお粗末が過ぎるブログですが)
●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○


F:2306
M:4554
matchypotter

matchypotter