PikKa

ヴォイジャーのPikKaのレビュー・感想・評価

ヴォイジャー(2021年製作の映画)
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人口増加や食糧危機、自然環境破壊によって人類が他の星への移住を計画している現実世界とリンクするような設定がベース。

『パッセンジャー』や『インターステラー』などのような雰囲気を思い出したけれど、本作は幼さが残る子どもたちが宇宙船の中で成長し、10代後半から20代前半あたりくらいでしょうか。
その若年期の子たちが軸です。
同乗の大人は男性ひとりですが登場時間は少なめ。
外部との接触もないので、展開の盛り上がりがいまひとつでした。

理性や自由や自分らしさはそれぞれとても大事なものだけど、その抑制が効かなくなって暴走を始めるとあっという間に手遅れになる。

孤立無援の宇宙船内の環境だからこそのトラブルやハプニングというよりも、若者ゆえの嫉妬や欲望などで終始展開していくので、せっかくの環境を生かしきれてない気もしました。

本当のエイリアンは私たち人間の不安や恐怖、怒りや悲しみ、疑心暗鬼などが生み出す、目には見えないけれどそこここに漂い渦巻き沈殿する心理的なもの。

微妙なバランスで成り立っている、微細で多感な感情を持つ人間だからこその世界観を垣間見たかのような作品ではあります。
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