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彼女が好きなものはのchiのレビュー・感想・評価

彼女が好きなものは(2021年製作の映画)
4.2
完成披露試写会に参加させていただきました。ありがとうございます。

あまり期待していなかったが想像以上に同性愛者について真剣に描かれており、かなり考えさせられた。
私はBL漫画は全く読まないがLGBTQには関心がありLGBTQ関連の映画は数多く見てきた。同性婚にも賛成だし理解がある"つもり"。
でも、純がゲイだと分かった後の周囲の言動、特に小野が良平に問うた言葉を聞いて、実際に身近で起きたらもしかしたら私も同じようにしてしまうかもしれないと思った。揶揄ったり避けたりすることはないと思うが、知らなかった時と同じではいられないと思った。

映画を見ながら「理解する」という言葉について考えた。理解するという言葉は、対象を理解してあげなくてはいけないものとして捉えているから出てくる言葉だと気づいた。理解してあげなくてはいけない特別なもの、異常なもの。純も「異常」という言葉を使っていたが、「理解する」という言葉は対象を異常と捉えているのかもしれないと思った。
異常、普通じゃない、だからこそそれを知ったら知らなかった時には戻れない。「私は気にしないよ」なんて言ったとしても、心の奥底では気にしてるから、気にしないという言葉が出てくるのである。
表面的な言動と深層理解。自分自身について考えてみても難しい。

「摩擦はゼロとする」の話も、LGBTQ当事者の方が自分の存在をなかったことにしないでと訴えるのを時々目にするので、とても良い例え話だと思った。

BL星。初めて聞いた言葉。男性が全員BLの世界線らしい。でもそうか、ゲイの人にとってもBL星は行きたい世界線なのか。自分が異常ではない普通の世界だから。
BLという言葉も同性愛という言葉もなくなる、そんな世界がいいね。でもそれは本当に難しい。難しい。でもいつかきっと叶う日が来ることを願います。

純がTwitterでやり取りをしていた相手の真相は短くも非常に印象的でした。

終盤の紗枝の行動についてはアウティングのこともあり賛成はできないので、その点をマイナスにしました(映画というより原作に対する評価になるかもしれないが)。
あと、水風船飛んでくるシーンはそれはないだろ〜と思いました。

この映画を見た方に「カランコエの花」という映画をおすすめします。是非2作合わせて見てほしいです。

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特別ファンではないですが、神尾楓珠くんと山田杏奈さんを生で見られて良かったです。山田杏奈さんがめちゃくちゃ可愛かったし受け答えもしっかりしていて好印象でした。神尾楓珠くんも一人で笑いを取ったり健気で面白い方なんだろうなと思いました。
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