re

彼女が好きなものはのreのネタバレレビュー・内容・結末

彼女が好きなものは(2021年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

2人が接近する場面、純の叙述は「そのとき、彼女との距離は0.01ミリ」

これは映画『恋する惑星』の台詞
「そのとき、彼女との距離は0.5ミリ-57時間後、僕は彼女に恋をした―。」へのオマージュだと思われます。

『恋する惑星』の通りであれば、純は紗枝に恋をする筋書きであったし、ステレオタイプの青春映画であれば、出会い頭にぶつかった男女の恋は必然です。
しかしそれは2人が異性愛者であることを前提としています。

自分が異性愛者という多数派に所属していれば、少数派という面倒な存在は無いことにするでしょう。
頭を使うのは疲れるからです。「この場合、摩擦はゼロとする」です。

けれど現実に摩擦は存在していて、存在するものを無い事には出来ません。
そのズレを見て見ぬふりをしていたら、とうとう耐えきれなくなって最悪の形で目の前に現れることもあります。

面倒でも摩擦を受け入れるしかないのです。それに摩擦が存在しなければ、ぶつかることも、相手に触れることさえ出来ません。

純と紗枝が人間として深く繋がることが出来たのは、お互いを理解するためにぶつかりあったからです。

そもそもこの世界が「摩擦ゼロ」だったのなら、書店で純と紗枝がぶつかることもなく、2人の出会いは存在しませんでした。

摩擦で傷だらけになることもありますが、この世界に摩擦があって良かったと思いました。
re

re