鬼太郎は昔にアニメで観たなあ、という浅い知識の自分でも楽しめました。
現代風にアレンジを加えつつ、きっと水木先生へのリスペクトも込めてある要素を細部からそれとなく感じ取れる丁寧な作品のように思いました。
失踪した妻を探す鬼太郎父と、戦時の絶望から野心に燃える水木青年が相棒関係を組んで閉鎖的な村での忌まわしい因習を暴いていくホラー風味の物語で、個人的には、メインビジュアルほどのおどろおどろしさはさほどでもなかったですが（これは個人の好みによって感じ取り方はバラバラでしょう）、戦後から昭和中期にかけての雰囲気を絵としてしっかりと描き込んでいるのがとても良かったです。
ただ中盤以降は、いわゆる「妖怪」による超能力バトル的な展開となっていくので、横溝チックな「因習村」要素はさほど…という感じながら、アクションは見ごたえがありました。先の鬼太郎父の妻への慕情の切なさや、水木青年の戦中に感じた絶望や空虚の痛々しさも沁みてくるものがありました。
ただ彼らが絆を築き上げる過程にはもう少し描写が欲しかった（鬼太郎父母のエピソード程度でも）かなというのと、真相に至ったタイミングが少し唐突で、なにか省いたのかな、という感じを受けました。エンドロールがすごく余韻を引く良さだったので、余計にそう感じました。
個人的にちょっとと思ったのは、いわゆる村の因習のひとつとして近親相姦をあからさまに台詞、映像からでも想起させているところに、事前に配慮が欲しかったかなと。子どもにも親しまれているシリーズで、（大人向けと想起させているとはいえ）小学生も観れるPG12なのだから、描写するのならせめて保護者向けにでも公式に指定の理由、注意喚起が欲しかったかな、と。
