かさま

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎のかさまのネタバレレビュー・内容・結末

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

最初に見に行ってからいろいろ考えて追加で見たりしていた。初見時の印象が薄れている気がするけど、日本は戦中の全体主義や搾取構造を全く総括できないまま戦後も続けており、それは現在まで続くものであるというところまで描いていて志の高い映画だなあとというのが初見時から好きなところだと思う。
TVシリーズ6期をたまに見ていて、そちらも現代の話をやるという気概が感じられて好きだった。この映画も今語るべきことをやるという作品だった。
水木は搾取構造から降りることができた人で、龍賀家の面々はその中で適応してしまったり諦めたりした人々なんだろうが、搾取された怒りを持っている人も悲惨な結末をむかえてしまうのは現実が回答を用意できてないからかなと思う。沙代さんが東京に出て日本を破壊してくれてもよかった。鬼太郎本編に繋がらないが。あの場でツケを引き受けてしまったのも幽霊族のゲゲ郎だし、今も日本が搾取してきた人や国にツケは払えていないままだろう。ゲゲ郎の、子どもに生きる世界を渡さなければいけないのだという意思は親(大人)として切実で前向きな願いだと思うし大変感動した。搾取構造から降りることと、犠牲になった人に対して忘れず語り継ぐことを示しただけでも誠実な方だとは思う。
沙代さんが東京に出ても自由なんてないと悟っているのは丙江さんから学んだのかな…とか、龍賀家内部もすごく余白が気になる。増補版とか作ってくれないかな。
鬼太郎に総員玉砕せよとかのんのん婆とか他の水木しげる作品要素も入れつつ、水木作品内にあるポリティカルな要素で話を構築して、最後に目玉のおやじと妻が原作1話のビジュアルになり鬼太郎誕生の話につなげて、すごい…偉い…盛りだくさん…と初見で思った。エンディングからエピローグまで気が抜けない6期鬼太郎の誕生譚になっていた。
かさま

かさま