２０２３年公開アニメ映画。水木しげる氏生誕１００周年を記念し、氏の代表作である「ゲゲゲの鬼太郎」の鬼太郎誕生秘話を描く。
「墓場鬼太郎」から長らくゲゲゲの鬼太郎は見ていなかったんですが、中々面白い作品でした。というのも本作、舞台が閉鎖的な村が舞台ということですから、まぁ「犬神家の一族」とか「八つ墓村」のような、金田一耕助チックな作品を予想していたのですが、蓋を開けてみれば…
いやはや、思いつく限りの厄ネタをぶち込んできたような作品でした。一つ一つは割と思い当たる映画（SFの〇〇〇〇〇〇とか宇宙的恐怖のアレとか）の設定なんですが、それらを違和感なくまとめたのは素直に凄い。更に本作で面白いなぁ、と思うのはあまり見られなくなった“昭和的な価値観”への批判がうっすら見え隠れするところですね。最近では”昭和はよかった”と全肯定するような作品が散見されますが、本作がそういった映画が目をそらすような、昭和という時代に蔓延っていた（そして一方で高度成長期を支えていた）価値観を悪意あるものとして表現しているのは、現代に蘇った妖怪映画らしくて良いですね。前日譚である以上、どうしてもラストはちょっと気まずく切ないものとはなっていますが、そこはちょっとほろ苦い、ゆず酒のようなもの。観ても損はないです。
