アン子

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎のアン子のレビュー・感想・評価

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)
5.0
【こんなに後味が悪い子供向けは久しぶり】
令和作の映画はコンプラにより残酷描写が薄め。コンプラが激しい中、久しぶりに後味の悪い映画を見た。

令和の日本映画の多くは、
現実が本当にしんどいから、映画内でも格差で上のものものから本当にしんどい思いを受けるんだけど、
主人公の私たちは今のままでいいのだ
と感じるという、
自分や、自分の周りの信頼できる友人社会を肯定する映画が多い気がする。

この映画は妖怪から見た人間の話なので、
昔から変わらない寿命の長い妖怪たちから見れば人間は自分の成長のために浅ましく、多種族を傷つける生き物にうつる
人間を(それを観ている私達も)とことん卑しく描く映画は久しぶりです。

私はなによりもこの映画の作画が好き。原作はトーンなしの書き込みだけでの表現だったが、映画も手作業で細かく書き込んでいてすごい!

原作作者の水木しげるさんは戦争体験者で、原作では「どうにもならん状況でも、生きられたことを感謝し、未来に希望を持てるなら持て」という観念をよく感じるので、
原作のその雰囲気をよく踏襲していると思う

原作に近いダークファンタジーときいて鑑賞。

途中までは怖くなくて、今の子供向けのアニメに近い雰囲気だった。びっくりハラハラも少なめ
終盤はぐろい描写あり。どれぐらいかというと、2000年代の規制が少なかった頃のグロ描写を画面カットして端っこの血しぶきだけ見せる、ぐらいのぐろさ

他の鬼太郎映画よりも、
人間の浅ましさ、どうしようなさを強く描いている。今回の映画では妖怪は被害者寄り
アン子

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