高い評判を耳にして観に行ったが、期待ほどでは無かった。
非常にアンバランスな作品。
鬼太郎モノって原作もアニメも、子供向けか大人向けか作風が別れているのだが、そこが入り交じっていて困惑する。
それと、社会風刺やブルータルな人体破壊描写が意欲的だが、同時に妙に昨今のアニメっぽい演出もあって・・・ゲゲ郎やヒロインのキャラクター造形や声優の演技、山伏モドキのデザイン、混入されるアクションシーン・・・そこがアニメ好きじゃない人間には違和感を感じて辛い。ゲゲ郎なんて『るろうに剣心』のアウトレットみたいだよなぁ。もう少しなんとか・・・。
横溝正史みたいな因習村も、そんなに生々しくは描かれないし、あの時代の閉鎖的な村にしては戸数や人口が多すぎないか?インフラも整っているし、分家も多すぎだろ・・・あんだけ家族ぐるみ、村ぐるみなのに、外から婿を入れたら秘密を守れないだろう、あの社長はバカなのか?・・・タクシーも入ってこないのに、消防団は活動しようとするんだ・・・などと、ディテールに違和感を感じて入り込めなかった。
軍隊や軍人の描写もリアリティに欠けるというか、覇気が無いというか。戦場帰りだったら、問答無用で人体に弾を叩き込むよなぁ・・・斧なんか狙わずに。
全体的に記号的・・・演出が。ミステリーとしても、プロットに粗が多い。
昭和の鬼太郎で止まっている人間なので、目玉の親父の声が違う!とか、猫娘がデカい!とかいう感想はともかくとして、エンドロールのカットは「あそこに繋がるのか!!」と感動はした。