寿マーガリン

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎の寿マーガリンのレビュー・感想・評価

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)
4.5
最初の方、戦争を体験して生き残った水木より、
幽霊族のゲゲ郎の方が人間らしくて泣いてしまった。

あんなに強いゲゲ郎も、奥さんの前ではいつも泣き虫で、愛に溢れていて、奥さんのことが、人を好きな奥さんのことが大好きだっていう気持ちがすごく優しく描かれている一方、
幽霊族より遥かに弱いはずの人間、水木は、戦争を生き残ったことで「誰にも踏みつけられない強さが欲しい」と、権力を求めて仕事に邁進していて、社長の娘であるさよさんの好意を便利な道具として扱おうとする。そしてゲゲ郎に「人の気持ちを軽く扱うんじゃない」と叱られる。

どっちが人間なんだかわかんないね。
人間ってグロ過ぎ。人間族は一度滅びた方がいい。支配の心、キモ過ぎる。


「東京に行ったら、女も自由に生きられる•って聞きました。」というセリフで嗚咽が出るほど泣いてしまい、
そりゃ完璧とはかけ離れてるけど、あの村よりはだいぶマシだよ!!泣 早く東京行こうな!!!泣 と思って本当に辛く、悲しくなった。あの村を出る時ですら、さよさんは男に頼らないと出ていけないのだから。

人間の女族、あまりに辛すぎる。
全ての女は生まれながらに十字架を背負わされている。人間の女族は、実質あの工場で縛り付けられて苦しんでるゾンビ達と一緒。子宮の数でカウントされてるような扱いのヘルジャパンは、あの村の工場と一緒。
女を大事にしない国はみんな哭倉村。早く呪詛を解き放ってぶち壊すしかない。

私たちはみんなさよさん。心の中に多かれ少なかれ、さよさんがいる。支配してくる男が憎い。呪詛返しとかこざかしいことすんな。何が陰陽師じゃ、なにが血筋じゃ、世襲制はもう時代遅れなんじゃ、黙って滅びていにしえの歴史の一部となって「昔は世襲制とかあったらしーよー笑 センスねぇよなー笑 キモ過ぎー笑」と、Z世代以降の若者に散々馬鹿にされろ。はよ終われ。

誰かの苦しみの上に成り立つ贅沢なんて、絶対幸せって呼んじゃいけないよね。戦争もそう、もう勝つとか負けるとか経済発展がどうとかいいから、人間族は「いかにみんなが平和で穏やかに暮らせるか」に目標を移行した方がいい。


話がズレてしまったんですが、すごくテンポも良くて飽きずに観れました。鬼太郎エピソードワンって感じでかなり面白かったし、目玉のオヤジのことを見る目が変わりました。なんて愛が溢れているんだ…オヤジ……好きだ……。昔から知ってるキャッチーでユーモラスなキャラクターが、こんなにも我が子を愛するオヤジの姿だったなんて。愛おしい。

水木しげる先生に、心より尊敬と敬意を込めて。