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⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎のLizのレビュー・感想・評価

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)
4.3
Twitterで二次創作(追記:星野リリィ先生のでした)を見てから気になっていました。『ハイキュー』を見た時に、同時にパンフレットだけは買っておいたのですが、見終わったので今から読みます。

『ゲゲゲの鬼太郎』のいつものちょっとボケの入ったような明るさや救いのようなものは終始薄く、大人向けなサスペンス要素が多めでした。というか、しっかりグロかったです。
ですが、シリアスな描写は別作品かのごとく作り込まれていて、水木しげる先生の戦争体験を写すように【水木】が描かれ、戦後たったの11年(作中では「(戦争から)10年が経った」と言ってた)後の世界で、【水木】が哭倉村で【ゲゲ郎(鬼太郎の父/目玉の親父の生前の姿)】との関わりによって、欲からくる富よりも大事なものを一瞬でも悟ったように、人の生き方や在り方や考え、捉え方を必死に訴えてくれるような内容の作品だったと思います。
しかし、厄災より生き延びた水木が記憶を失くし、エンディングで静かに繰られたエピソードの中で、怨念を一身に受けて変わり果て包帯姿となったゲゲ郎パパと再会した際、まだ記憶のない水木に拒まれてから亡くなったのは悲し過ぎました。鬼太郎のお母さんも変わり果てたまま亡くなってたし…言葉にならな過ぎた…。
最後は、水木がお母さんを埋葬した墓から生まれた鬼太郎を、化け物の子だと殺すか悩んだ時に水木がうっすらと記憶を取り戻したようで鬼太郎を抱き締めるシーンと、それを見守る朽ちたゲゲ郎の体から這い出た左目の目玉の親父の描写、感慨深かったです。

それにしても龍賀家の村の土着信仰的、悪習は、「ええっ!これ『ゲゲゲの鬼太郎』でこんなにゲテモノなストーリー描く?!」ってくらい胸糞悪かったです😭
【水木】と【ゲゲ郎】のタッグは好きになったけど、もう一度見たいような見たくないような…というくらい、重めなお話でした。
面白かったけれども…
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