たかはた

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎のたかはたのレビュー・感想・評価

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)
4.8
めっっちゃ、トラウマとそのケア。何のかと言うとかつて大日本帝国だったこの国家に紐づいた全ての者の、軍国主義によって自ら傷付いた者たちの、植民地支配者としての、戦時性暴力加害者としての、日本のPTSDの壮大な。よくこんな大きなものを「引き受け」ようと思ったことだと思う。
一方で、「おれがぜんぶ引き受けるから、お前は先に行け」みたいな存在、ここで言うゲゲ郎を自己の中に作ることで進める数百歩があることは私も知っているけど、そいつの声ならざる声はいつかちゃんと自分で聞いて言語化して鎮めてあげないと、トラウマに対する健康なカタルシスが訪れることはない。だからこれからの我々(この国の大衆みたいな意味)が、そうした過去から進めない自己の一部との対話をいかに誤魔化さずにできるかどうかだと思う。自分たちがしでかしたことと、それによって自分たち自身がどう傷付いたのかということを日本が本当に理解するのは。(映画が意欲作という名の主語デカだったので感想も主語デカになった)
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