映画大好きそーやさん

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎の映画大好きそーやさんのレビュー・感想・評価

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)
3.7
因習村ホラーミステリー feat.『ゲゲゲの鬼太郎』!
良作の部類と言っていい出来だったと思います。
劇場で鑑賞してからずっと寝かしていましたが、配信も始まったのでそろそろ書こうかなと、レビュー執筆に着手した次第です。
空気感、ルック、劇伴と、ホラー的文脈を強く感じられ、最初から最後まで緊張感をもったまま観ていました。
中盤までは多くの皆さんが表現している通り、横溝正史的なミステリーが展開されていき、終盤になると一気に『ゲゲゲの鬼太郎』的怪奇が顔を出し始めます。
意外とゴア描写と言いましょうか、グロテスクな描写も沢山あって、子どもが観るにはよろしくない表現もかなりありました。
胸糞展開もしっかり用意されていますので、初見の方は覚悟して観た方が良いでしょう。
本作に限っては、『ゲゲゲの鬼太郎』要素があるとはいえ、完全にターゲット層は大人であり、特に上記のような物語要素が好きな方には堪らない作品だったと思います。
ただ、とあるシークエンスのバトル描写が群を抜いて凄かったのですが、こんなこともできますよという制作陣のドヤポイントにしかなっておらず、どうにも脚本としての必要性はあまり感じませんでした。
また、ファン向けな描写も多かったようですが、その辺りは原作もアニメシリーズも殆ど観られていないので、私には全くピンと来ませんでした。(造詣が深ければ、もしかしたらもう少しスコアも高くなるかもしれません。知識としましては、1番最新のアニメシリーズを2クール分ほど観た程度です。スコアを決定するに当たって、現状は3.7とさせて頂くことにしました(2024/5/6現在))
最後のシーンからのタイトルバックまでの流れは、様々な意味を読み取ることができ、私個人としては、暗喩的に描かれた日本の暗部、水木を介して語られた戦争という名の愚行、哭倉村の人々を通して思い知らされた人というどうしようもない生き物、それらすべてを受け止め、救済する存在として鬼太郎が誕生したのだと解釈しました。
他にもネット上だけでも多種多様な意見が見られると思いますので、それらを確認しながら自分だったらどう考えるのかを定めてみても面白いかもしれませんね。
総じて、昨今のアニメ作品としては攻めに攻めた、大人も楽しめる良作アニメーション映画でした!