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⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎のdgoroのレビュー・感想・評価

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)
3.5
(お正月に観賞)
ご多分に漏れず、評判の良さに背中を押され劇場へ

村を訪れるシーンの細かな空気感、醸し出す雰囲気に千と千尋的な味わいを感じる
「ほっほー、これはなかなか…いや〜、これだったら実写でもいけるんじゃ…?」
と思った次の瞬間
いや!これ実写にしたら只のパクリ映画になっちゃうか…と気づく

いつからここまであからさまなオマージュ(?)が許される、いや、むしろ歓迎される?ようになったんでしょうね。
「あー、あれが元ネタね」という安心感なんでしょうか
こちらもそれを了解して観に行ったわけですが、冷静に考えたら随分ゆるくなったもんです

例えば、新しい作品が「ジブリっぽい」と言われたら、本来は「オリジナリティが無い」という批判として成り立っていたし、そうあるべきだと思うんですけど、今、言われて多分怒る人いないですよねー
逆に「そうなんですよ!!ジブリ大好きなんで!いやぁ、分かってもらえて嬉しいです!」くらい言っちゃうんじゃないでしょうか。

先日ラジオで某有名音楽プロデューサーが「(自分がプロデュースを手がける)若い子が『こういうのやりたいです』って(洋楽の)音源持ってくるので、張り切って全く同じギターの音を作ってあげたら『ここまではちょっと…』って言われちゃいましたよ(笑)」って話してました。
音楽業界に身を置いたこともあるので、昔からそうなのは知っていましたが、それにしてもここまで「隠さなくても良い」という感覚なのか…
と驚き

水木先生の戦争体験という大命題をその作品と直接結びつけるというのは、ある意味今までは暗黙の了解で別物とされていた原作と東映アニメーション作品を遂に融合させるという離れ業だと思うんですよ。
あ、映画の話に戻ってます(笑)

それをやってのけようというめちゃめちゃ意欲的な作品のモチーフがまんま借り物では「どこに出しても恥ずかくない」とは言い難くないでしょうか。
勿体ない…とても…!!

「この世の全てはパロディなのか(情けねえ/とんねるず)」
by秋元康(嫌い)
90年代の幕開けに相応しいな、と感じていたフレーズも、今ではもう皮肉にもならないんですね

隔世の感とはこのことですなぁ…カラン…コロン…(下駄を鳴らしながら立ち去る)
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