幽斎

ビューティフル・ネイバー 美しい隣人の幽斎のレビュー・感想・評価

3.6
本作は劇場映画では無く、テレビ・ムービー。アメリカのペーパービュー局「Lifetime」放映。北米で9400万世帯が視聴する中堅企業だが独自に映画を製作する事で知られる。局の最大の特徴は視聴者を女性に絞って放送、出演する側は勿論製作も女性が中心と徹底してる。白人以外を主人公にキャスティングしないので、経営方針は屡々政治的な意味合いで取り上げられる。ハリー王子とメーガン・マークルのラブストーリー「Harry & Meghan The Royal Love Stoty」英国と違う切り口で視聴者から絶賛された。

Lifetimeの多くを請け負うカナダのReel One Entertainment製作。スペシャル・ムービーとして放送され、視聴率の良かったタイトルは、Amazonを中心に海外へも幅広くセールス。同局のTVムービーは100分が放送枠とされ、本作も90分と時間的にはサクッと観れる。テイストは私の親世代「火曜サスペンス」に近く(多分)、出演者も女性中心と言いながら旦那さんもしっかり喰らい付く様に出来てる、それは美女が出るから。

私は「ディープ・インパクト2016」Anna Van Hooft目線で見てたが、友人に「ソッチかよ!」と驚かれた"笑"。ヒロインElisabeth Harnois「CSI 科学捜査班」で有名らしいが、TVシーズンを観ないのでColin Firth主演「シングルマン」チョイ役で出演してた事を思い出した。Reel Oneが重宝されるのは分り易い結末。SEXシーンは皆無、サスペンスも流血は控え目、ヴァイオレンスやグロ描写など以ての外。つまりリビングでご夫婦が見ても気不味く為らない、良く言えばソフィスティケートに創られてる。

プロットは完全にマタニティ・スリラーの傑作「ゆりかごを揺らす手」。多少は現代風にアップデートされてるが、スリラー側に寄せて製作できない制約から、演出もイミテーションの枠を超えない。20年も前のプロットを模倣する事自体は、悪い事とは思わない。Steve Bacic監督は本作が長編デビューだが、短編が評価された形跡も無くスタジオ側の抜擢「X-MEN2」に出演したベテラン俳優でも有る。男性側がお粗末なのは、このチャンネルお約束だがテレビ局側に忖度し過ぎの演出が目立ち、個性も感じられなかった。

アメリカでは赤ちゃんが病院から失踪、ベビーシッターの目を盗んで(共謀して)連れ去る事件が本当に多く、深刻な社会問題としての側面が有る。物語も荒唐無稽と鼻で笑えないリアリティが有るから、何度も量産される。最近では国境を越えてカナダから連れ去る事案も報告されてる。本作を製作したのは・・・。

貴方の周りにも無駄に親切な人は居ませんか?。恐い描写が苦手な方にも諸手を挙げてお薦め出来ます。
幽斎

幽斎