ロアー

ただ空高く舞えのロアーのレビュー・感想・評価

ただ空高く舞え(2020年製作の映画)
4.1
先日観た「ヴィクラムとヴェーダ」のパンフレットが「ただ空高く舞え」との2本立てになっていたので、これはもう「ただ空高く舞え」も観るしかない!と思って観てきた。

実話を元にした起業物語と聞けば、様々な問題に立ち向いつつも最後に夢を実現させる感動のサクセスストーリーと予想すると思う。私もそんなつもりで観に行った。でも実際は予想の10倍くらい問題が大問題過ぎてびっくりしちゃった。というのも主人公に降りかかる問題が人為的な妨害だったから...時間も金も人命もかけて妨害してくる大手航空会社の妨害がマジでエグ過ぎて、観てる私の方が心折れちゃった。私だったらインターミッションまでの出来事で「ヤダもう無理生きていけない全部お終いだ」って大泣きして、その後一生引きこもるレベル。なのでサクセスストーリーと言うよりは、庶民と富裕層の壮絶な戦いの物語だった。

大手航空会社の妨害の理由がシェアを脅かされると言う金銭的な問題じゃなく"低俗な庶民が自分たち富裕層と同じ飛行機に乗ることなどあってはならない"と言う理由だったのもゾッとした。そりゃそんな理由ならいくらでも大金をかけて妨害するだろうし、庶民を邪魔な虫ケラとしか思ってないのが胸クソ過ぎる。

妨害に立ち向かう主人公の頭の回転の良さにスカッとするし、そんな主人公を支える妻との関係性も見どころだった。
主人公がインド映画ではわりとデフォな俺様モラ夫であったのは間違いないけど、怒鳴られれば怒鳴り返す叩かれれば叩き返すという気概ある逞しい妻が、それはそれでお互い対等な夫婦として成り立っていて素敵だった。お互いがお互いを煽って発破をかけることで、どこまでも空高く高め合えそうな夫婦の確かな愛があってこそ、困難に立ち向かえたんだと思う。

ところで、そんな妻を演じたアパルナー・バーラムラリも当然美人なのに、エンドロールの写真に出てきた実際のネドゥマーランの妻もとんでもなく美人だったことに衝撃が走った。実話ものでそんなことある!?あの小柄で可憐そうな実際の妻が夫を言いまかしてたんだとしたら、それはそれでなんか...良いぞ...
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