友二朗

桜のような僕の恋人の友二朗のレビュー・感想・評価

桜のような僕の恋人(2022年製作の映画)
4.2
「変わらないもの」

重みある一本。
行き場のない悔しさと悲しさに涙が止まらなかった。

恋愛/病気というよりこれは『人生』というジャンル。それぞれの考え方や生き方にもれなく納得できる。

ーーーーーーー【前半】ーーーーーーー

「お客様第一号」
前半のラブコメシーンは純粋に観てて楽しかった。ちょっとオーバー気味な演技が全体で振り返ると愛おしく思える。キャッキャした喜び方を両方共するのがなんか面白い。

いいいや松本穂香スッピンかっわい。
スッピンの下りやたら溜めるなと思ったらそゆこと。なるほど納得の溜め。

電車のドアを間に挟んでの告白なんて映画っぽくて可愛い。ドアの内側から叫んだ後、振り返って他の電車利用者と気まずくなるシーンなんかも入れたい。

「ここまでだ。入室は許可しねえぞ」
お兄ちゃん大大大好き。こんな愛くるしい妹おったら自分でもこうなるわ。桜井ユキも素敵の一言。この2人のバランスが絶妙で実際上手くいきそう。幸せな家族になって欲しいと願うばかり。

「カメラって、魔法の道具なんです」
自分もフィルムカメラをよく撮っているがこの言葉にとことん同意する。むしろ目で見た現実の一瞬より綺麗に残る時がある。それが悔しくもあり、危険なまでに美しいのだ。

デートシーンのダイジェスト、LINEのトークを入れるの効率良く2人を知れて面白い。内容のセンスも良く、『説明されてる』というダルさがない。特にスクランブル交差点を走るシーンのカメラワークとバスのシーンの照明は素晴らしかった。これ撮影楽しかったやろな〜。

今撮ってる自分の監督作品でデートのダイジェストシーン入れようと思ってたんやけど、これがなかなか難しい。便利だからこそ普通じゃ見てられない。

永山絢斗がチャーハン作ってるシーン、フライパン持ってる左腕の筋。こりゃ良い腕だ。格好良い。

凄くキュンキュンしたし楽しかったけど、全体的に白がかった映像に合わせてもう少し奥ゆかしい表現でも良かったんじゃないかな。でもそしたらめっちゃ雰囲気変わりそうでやっぱなんとも言えん。

ーーーーーーー【後半】ーーーーーーー

後半がとにかく好きである。
痛いほどに心を握られた。

拭っても拭っても湧いてくる眼の前の涙が光を反射して画面が観づらくて仕方ない。

早老症/ファストファード症候群。

病気系の作品で一番感情移入する事ができた。いかに悔しいか、いかに辛いか、いかに悲しいか、もちろん全てを理解できる訳ではないが、観ているだけでも苦しかった。

本当に誰もどうする事もできない。どう頑張っても無意味に感じられる。ここまで強烈な設定は初めて観た。周りの対応も周りへの対応も非常にリアルで心苦しい。もし自分ならどうするだろう。

入院中の看護師も全員若い女性。
綾乃に対する気持ちにも納得できてしまう。

自分の境遇を知ってから晴人のもとを去るまでの美咲の言動が底知れず切ない。プロポーズの返事とかベッドシーンなんか切な過ぎて心臓千切れるかと思った。

恋においても悔しいが、夢においての悔しさったらこの上ない。「諦めるな」と教えてくれた美咲の心がぼろぼろと崩れていく様が辛くて辛くて、ぐ〜、これ書いてて今もしんどくなってきた。

思いもよらないタイミングで鏡に映される美咲の顔。美咲の髪を梳く綾乃。髪が命である美咲にとってこのシーンの重さは尋常じゃなかった。

スマホ画面や照明の点滅の中窓越しになど、移り行く美咲の姿を見せるシーンが絶妙。特殊メイクの都合で時間とか色々限られてだと思うけど、その数少ない一つ一つがちゃんと意味を持っていた。

劇中で撮った写真をしっかり映し、それを残す演出とその編集。仕事や夢に対しての向き合い方がこの作品はとても真摯である。恋愛や病気と同じ、またはそれ以上の熱量をここに感じた。

良くも悪くもストレート。
どこまでも純粋で鈍感な晴人。

廊下にストーブを置いて襖越しに会話するシーン、「来年はもっと色んな所に行こう」という台詞。各季節を歩く2人を描く晴人。これ本心の言葉なんか慰めの言葉なんか分からんだ。でもどっちにしろ結構残酷な事言ってる。

「よく頑張ったな。ほんとに..。だからもう 自分の1番大事なものは諦めるな」やはりお兄ちゃんにグッとくる。貴司と綾乃が本当に光っている作品だった。貴司もほんとによく頑張ったよ。

「お前は他人だから」
見るからな詐欺。家いっぱいの源水。
物語制作における愛の表現として適切かどうかは分からないが自分には素直に響いた。街を見下ろして座るシーンなんてその哀愁に押し潰されそうになった。

「早く楽になりたい」
サンタの靴下のシーン。靴下の中の紙を見つけた時の貴司の表情とそれを読んだ貴司の表情。うああ。

「p.s.今回は結局会えなかったね」
ここ死ぬほど泣いた。
顔面が完全に滝と化した。

あの雪道の上でのシーンもラストも良かった。

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全体を通して恋愛というより個人個人の心情変化に心揺らされた。むしろ晴人関係はちょっと綺麗すぎて困惑するが、こんな人間になれたらいいなと思わされる。

中島健人の演技は素敵でした。
何よりご尊顔が眩しい眩しい。

お兄ちゃんと山登りの先輩が凄まじく良い。

とにかく良かった。
こんなに刺さるなんて自分でも意外。

今年も桜が楽しみ。
読んでくれてありがとう。

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「あの春の中に確かにいた
 桜のような僕の恋人を」

「有明さんが泣いていた。
 僕のちっぽけな耳たぶのために」

「恋人がいないと知った日は
 嬉しすぎて15年ぶりにジャングルジムを
 回してはしゃいでしまった」
こうゆうの好き嫌い分かれそう。
おいどんは好き派。

「勝手にうちの仏壇開けないで」

「デートの件に関しまして」

「すいま」
「せんじゃなくて!
 どうしてとことん頑張んないのよ!
 夢なら簡単に投げ出さないで
 辛くても何があっても
 カメラ続けなさいよ!」

「だから変わります。
 貴方に好きになって貰えるように」

「朝倉ストロボそっちじゃねえだろお前
 三脚口からぶち込むぞ」
すんごい叱咤やな。

「美咲さんの、色だなあって」
「私の色?」
「満開の桜みたいだから。
 美咲さんの笑った顔」
言えん言えん言えん。これは無理。
お前は凄いよ晴人。

「僕は、貴方を好きになれて良かったです」

「好きって、言ってきた」
「今なんつった?例の嘘つきカメラ小僧か」

「ま見込みのない奴には怒鳴りもしないからね
 怒鳴りの数だけ認めらてるってこと」

「笑いません。誓います」
「いや誓われても困るんだけど」

「耳たぶに誓って」

「僕の最後の恋人だって勝手に思ってる」
これは素直にめちゃめちゃ良い。

「誰かに魔法かけるどころか
 自分が醜くなっちゃうなんてね」

「急に来てごめんね
 なんとなく驚くかなと思って」
これがいっちゃんええのよ。
彼女にして欲しい事NO.1
このシーンでは意味違うけど。

「その瞬間を永遠に閉じ込める魔法」

「ずっと一緒に歳を取っていけたら良かったね
 サヨナラ、晴人君」
あばばば泣泣

「諦めの悪い男だな」
「彼女から諦めない事を教わったので」

「会お?会って話そ?何処へでも行くから」
「もう会えないよ..」
「なんで?」
「彼が嫌がるから」
切ねええ、うわああああん

「皆何者かになろうとして必死に足掻いてるんだよ。君はどんな写真が撮りたいの?」

「私達の仕事はさ、失恋だってマイナスなんかじゃない。悲しい恋こそ芸術の糧になるって私は思ってる」

「これはただの紙だね。
 風景が映ってるただの紙だ」

「才能も技術ももちろん必要だよ。
 でもそれ以上に必要なのは撮り手の心。
 シャッターを押す瞬間、何を願うのか」

「答えはファインダーの中にしかない」

「誰かのためだけに撮った写真を
 僕は初めて見たよ」

「君が、大好きです」

「君はありがとうと精一杯笑ってくれたのに」
ふえええええ泣泣

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「久々に運動して筋肉痛で腕がパンパンです」
「僕もです(笑)」
「ハサミ持つのにも痛くて、またお客さんの耳切っちゃいそうでした(笑)」
「デートに誘われるかもしれないですね(笑)」
「もし誘われたらどうしよう(うふふ)」

LINEのトーク、にやけざるを得ない。このシーン観てる自分世界一キモい顔面してた。
友二朗

友二朗