Jeffrey

フラワーズ・オブ・シャンハイ 4K デジタルリマスター版のJeffreyのレビュー・感想・評価

3.5
「フラワーズ・オブ・シャンハイ」

本作はカイエ・デュ・シネマ誌の選ぶ年間ベストテンで、一位に選ばれた一九八八年に侯孝賢が監督した台湾と日本合作映画で、このたび国内で初四kBD化され購入して久々に鑑賞したがやっぱり候孝賢って感じがしない作品で退屈なんだけど、ザ・シネマって感じが素晴らしい。監督がトニー・レオンと言う国際的スターを主演にしたのはかなり珍しいと思われる。遊郭の室内シーンのみで全編構成される本作は、橙色の照明がきらびやかな衣装や小道具の数々、たゆたうアヘンの煙を浮き上がらせる中、繰り広げられる遊女と男達の戯れをリー・ビンビンが流麗なカメラワークで捉え、観客を恍惚へと誘っていく一一四分間である。冒頭の九分間の長回しとセリフ量を考えると半端ないなと思う。役者殺しだわ。羽田美智子の日本語は吹き替えさせられている。ワンシーン・ワンカットを丁寧にフェード・アウトしていくのはたまらなく最高だった。才能がみなぎっているこの映画は。ただ、一度見たら充分かなと言う作風でもある。
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