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ヤギを追跡せよのLCのレビュー・感想・評価

ヤギを追跡せよ(2021年製作の映画)
3.8
楽しかった。

原題は「 Cabras da Peste 」というのだけれど、これは直訳すると「病気(ペスト)のヤギたち」という少し奇妙な言葉である。
直訳でおかしな意味になる表現といえば… そう、お察しの通り、これは慣用句だ。ヤギを「 Cabra 」と単数系にした形で目にすることが多い。
どんな意味の慣用句かと言うと、文脈によるのだけれども、基本イメージは「勇気ある者」とか「数々の困難から生還した戦士」とか、そんな感じ。

警察ものでアクションもあるが、怖さも痛さも与えてこない。真剣に事件を追うけれど、笑える。軽やかな気持ちで過ごせる90分。最高。
ちなみにヤギさんは、大きな見せ場があるものの、無事です。

主人公は小さな町で大きな夢を抱いている警官。作品冒頭の盗人追跡劇で、見ている私のことは魅了してくれるが、上司には思ったように評価されない。
そしてヤギさんのお世話を言い付けられる。
そのヤギさんが脱走した先で、待ち望んだ大きな事件と未来の相棒との出会いが待っていることを、主人公はまだ知らない。

取調室でのプレッシャーの与え方とか、濡らしたタオルでの複数人撃破とか、交通整備の赤く光る棒で二刀(棒)流とか、アクションに疎い私でも、結構ちゃんと凄いなあと感じる場面が複数ある。敵さんにも棒捌きの見事な者がいたりするし。
ただ、それらはことごとく笑える場面にもなっていて、アクションを楽しんでもいいし、おかしなところをクスッと笑いながら楽しんでもいい。100点。カラオケの機械が採点したんだ、間違いない。
人によっては、作中至る所で Beverly Hills Cop の主人公を、なんとなく、ふわっと思い出したりするかもしれない。そうでもないかもしれない。ジャッキー味もどうだろう。

相棒が最後に胸を張って警官である証を見せる姿が好き。
あんだけのことを乗り越えた人( Cabra da peste )だぜ、そりゃあ眩しいわけだよ、これからも自信持って走り回ってくれ。ごめん、ちゃんと素直に言うよ。これからも主人公に振り回されてほしい。内勤もいいだろうけれど、2人でぎゃーすか動き回っていてほしい。よろしく頼む。
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