元は同名の舞台作品で、監督・脚本・主演が続投した映画版。
恋人・友人・仕事・家族…ありとあらゆる人間関係から逃げて逃げて逃げまくるクズ男の姿をコメディタッチに、それでいて切実に、かつ突き放した視点で描きます。
主演の藤ヶ谷太輔は逃げ癖の強いクズ男を好演、脇を固める役者陣も良かったです。前田敦子の演技を観るのはほとんど初めてでしたが、庶民的で生々しい感じが特に良かったですね。
撮影は2020年春に行われたとのことで、ドローン撮影による降雪を真上から写したカットなど映像面もなかなか。
ストーリーは案外地に足のついたもので、予告の煽りほどの飛躍がないのは少し残念でしたが、適度にしょうもない話でいい感じに笑えました。
共感と反感、という謳い文句だったけど、あんまり共感させようという作りには感じなかったかな。人間は総じて大なり小なりクズ!というテーマをメタっぽく、ちょっと引いた視点で見せて笑わせる、そんな作品だと思いました。
かなり意地悪な笑いを誘う映画で好みでした。ベスト級にはならないけど、記憶に残る一本になりそうです。