桜内曜

そして僕は途方に暮れるの桜内曜のレビュー・感想・評価

そして僕は途方に暮れる(2022年製作の映画)
3.7
逃げ続けた先に残ったものとは…
 
良かったところ
藤ケ谷くんのグズっぷりがたまらん
こいつは別に犯罪をしたわけでもないし
何かヤバい過去があるわけでもない
ただ人間関係に嫌気が差して逃げただけ
こう言えば聞こえはいいけど
映画の中での藤ケ谷くんはホントにクズ
クズでも哀愁があるのがずるい
共感はいまいち出来なかったけど 
主人公は好きになれた
どうしようもないクズで何の生活能力も
ない人としては終わってるし
そのくせに目上の人だったりに
媚を売ったりしてるし
態度とか見てても明らかに人によって
変わるのがうわーこいつ
人間性終わってんなと思わされるだけの
説得力がある
その説得力を持たせれる藤ケ谷くんの
演技には驚かされる
終盤の藤ケ谷くんの演技は良すぎた

脇を固める俳優人も豪華だった
トヨエツの親父も映画にいい味をもたらしていた
個人的にはお姉ちゃんを演じた香里菜が
良かった、
ちゃんと主人公を怒ってくれるのがいいし
こっちが思ってること全部言ってくれる

映画の最初の最後でタイトルの意味が
変わる
ホントこのタイトルは見た後だと
感じ方が違ってくる 

悪かったところ
うーん役者の演技が過剰かな
怒るときとかそんな声荒げなくても
いいやん、近所迷惑だろとか
怒るのはわかるが内側にためすぎだろ
怒るときの演技がホントに舞台っぽかった

終盤怒ってくれたキャラと主人公が再開
するけどなんで一発殴らねぇの
お前らめっちゃキレてたやん
そんな一瞬の過ちですまないと思うけどなみんな心広すぎ

後半が謎すぎる、途中からストーリが
方向性を見失ったような気がする
終盤の彼女との会話シーンは良かったが 
そこに至るまでが長い
序盤から中盤はクズが繰り広げる
ロードムービー見たいなものとして
楽しめたけど後半がなにやってんのか
掴みづらかった

後劇中でやたら映画がどーだとか言ってる
最初はお!メタ構造入ってんのか
面白くなりそうと思ったが明らかに多い
こいつらが映画がどうとか言うから 
おぉたいそう素晴らしいオチが用意されてるんだろうなと思いきや
まさかの超普通なオチがつく

そこは肩透かしだった
嫌いではないし好きなところもあるけど
ホントに後半がもったいない
後こう言う系の地味目な今の日本社会を
写すような作品がもっと見たい
桜内曜

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