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そして僕は途方に暮れるのamuのネタバレレビュー・内容・結末

そして僕は途方に暮れる(2022年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

空前のブームを巻き起こした(?)「逃げ恥」しかり、いまのご時世では我慢することが悪となり、すこしでも嫌だと思ったらその場(会社や人間関係)から逃げてしまおうよ!という世の中、そんな生ぬるいもんじゃない、逃げるってここまでやんないと!っていうくらいとにかく逃げる主人公。

主演の藤ヶ谷太輔さんの演技は「信長協奏曲」(ベースがコメディの作品)での前田利家役しか見たこと無かったので驚いた。クズオブクズのこの役どころを見事に演じていた。

久々に三浦大輔(の作品)でも観てやるかぁ~!と観賞に至ったが(謎に上から)、相変わらずシチュエーションが「様々な部屋」で、軸が全く1ミリもブレていない三浦ワールドだった。良かった点はエロゲス系描写が無かったこと。

舞台が主戦場である監督ならではの良くも悪くも舞台っぽい描写が多くてついツッコミを入れたくなる場面は少なくない。

例えば、主要人物に偶然出くわし過ぎ。夜中の誰もいないバス停でぽつんと途方に暮れていたら、何年も会っていない父親にバッタリ再会するとか。そこは大目に見てね!と言われているような感じで、こちらが割り切るしかない。

あととにかく人とも自分自身とも向き合わず逃げてばかりのこの主人公の一ヶ月のお話なわけだけど、この一ヶ月はともかく、じゃあそれまでどうやって生きてたの?とか、彼女と5年も同棲していて一度も逃げる的なことは無かったわけ?とか、友達にも急にお前人としてどうなの?って態度取り出したわけ?幼なじみなのに?とか、気にしだしたら止まらないんだけど、これも気にしたもん負けなのか。

どう着地するのかなぁ~と中盤あたりからそればかり考えてしまったけど(中だるみ)、まぁ、これはこれでいいんじゃないでしょうか。

トヨエツさんはさすがでした。あと久々に好きな感じの毎熊ニキ観れて嬉しかった(「ビリーバーズ」では気持ち悪かったので)。野村周平さんも。

作中、トヨエツさんが「客が飽きてるから展開しないと」的なことを言う場面で、ご多分にもれずかなり飽きてきていた自分がいたので、そこでも舞台だと小屋内が笑いで溢れるんかね、と空を眺めた。

オチに使われるだろうと思った台詞の使いどころは悪くなかったし、この先、主人公の未来が明るいものでありますように。自分からは逃げんなよ!
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