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そして僕は途方に暮れるのひでGのレビュー・感想・評価

そして僕は途方に暮れる(2022年製作の映画)
3.7
大沢誉志幸の代表曲からインスパイアした(のかな?)元々は、監督三浦大輔、主演
藤ヶ谷太輔主演で2018年に舞台化されたもの。それが大好評で映画化して!の声も高まり、2023年公開された。今回はアマプラで視聴。

舞台演出も主演者もそのまま映画にスライドされているので、展開や主演の藤ヶ谷太輔の演技もとてもスムーズだったような気がする。

僕は舞台も全く知らなかったので、全くの初見。
ふん〜こーゆー話なんだね、なるほど、、
曲の方は、「見慣れない服を着て、君が今出て行った。🎵」と彼女に出て行かれて途方に暮れる男の話だが、映画ではその逆。

男が逃げて、逃げて、そして、途方に暮れる。もっといろいろやり方あったろうに〜と思うけど、まさに途方に暮れて、雪の降り生きるバス停や汚い路地裏に座りこんでいる。
さすが舞台から演じている藤ヶ谷太輔さんの途方に暮れ方がさまになっている。

元は舞台ということで、ほとんど室内のシーン。しかも主人公の裕一と誰かの2ショット場面で構成され、最後にそれらの人たちが一堂に会するクライマックスに繋がっている。
あのお正月のシーンは、映画としてはややリアリティに欠けるなって思っていたが、
元は舞台と聞いて納得した。

それにしても、裕一は呆れて笑っちゃうくらいの典型的なクズ人間。
自分に原因があるのに、説明も謝罪もせずにそこから逃げて、旧友の家に。そこで、まるでご主人様みたいにふんぞり返るあたりは、クズ絶頂かと思っていたら、後輩にそれを自慢するというさらにクズの高みを上り続ける!

彼は、自分で選択し、決定することができない。恋人や旧友との付き合い方も昔から変わってはいないんだろうが、突き詰められるとどうしたら良いか分からなくなっちゃうタイプ。
舞台でもこの役をやっていただけに、途方に暮れる、と言うかどーしていいのか分かんなく、ボーとしている表情が絶品の藤ヶ谷太輔。
彼ってこんなに上手いんだ、って感心してしまった。

香里奈のツッコミも良かったし、「ゆいいちさーん」とずっとこのように甘やかしてきたんだと分かる原田美枝子の母の実の息子との距離感のバラバラさ。
そして、しんがりは裕一の父、豊川悦司、クズ・オブ・ザ・クズ!でも、どこか説得力があったりして、、

最後は、自分の甘さを皆の前で吐き出すが、果たしてこの男はクズ男を脱せられるのだろうか。僕はそうは簡単な結末に収める作品ではないと思う。

映画なら失敗から学んで立ち直る主人公を見せてくれるんだろうが、、映画中映画という皮肉な締め。
んん、年越しそばをインスタントで済ませている限りは、裕一くんはいつも途方に暮れる繰り返しからは抜け出せない、、
のかな。

結構好きな映画です。エンドロールの曲がどうにも乗り切れなかったのも、この映画らしい?
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