タイトルは、大沢誉志幸による1984年リリースのヒット曲から引用しているものの、内容は原曲のお洒落なシティポップとは正反対の、不器用で自分勝手なクズ男の話になっている。
浮気がばれて同棲中の彼女に問い詰められるも、逆切れ&荷物をまとめて逃走。逃げ込んだ友人宅でもトラブルを起こして、また逃走。クズの無限ループが凄い。こういう行き当たりばったりの人って確かにいる。
同情の余地もないクズのはずなのに、描き方が何ともコミカルで、段々可笑しくなってくるのは、恐らく作者の意図通りなのだろう。加えてクズにダメージ喰らった皆さんがキレるシーンが爽快感抜群なので、変に病みつきになってしまう中毒性がある。
そして、ボスキャラとして父親役の豊川悦司登場。使えない携帯電話を見栄で携帯している人。クズがクズの親玉に遭遇するとどんな化学反応が生まれるのか?
考えようによっては、共感映画が溢れまくっている日本映画に対する、強烈なアンチテーゼとも取れる意欲作。そんなに好きという訳じゃないけど、こういう映画の存在って意外と大事かもしれない。