このレビューはネタバレを含みます
沖縄県最後の官選知事、島田叡の足跡を辿るドキュメンタリー。素材が足りないのか、島田に関する描写は通り一遍。
島田個人に迫りたいのか、島田を足掛かりに沖縄戦を描きたいのか中途半端でした。恐らく両方なんでしょうが、見事に失敗している感じ。
ナレーションは仕方なくとも、見栄えだけのインサートやらイメージ映像がやたら多く、無駄にカメラを動かしたり、インタビューの切り貼りがかなり酷かったり、テレビ屋的編集に相当にストレスが溜まりました。インタビューで喋ってて音だけ切る編集いい加減にして欲しい。
島田に関するナレーションのベースは島田の日記か何かなんでしょうが、制作者の想像妄想が入り混じり、客観性など皆無。島田の官吏としての功績はさほど伝わらず、せいぜい「いい人」だったんだろうなという程度。
太田氏が「島田の成したこと、成せなかったことを、明らかにするのが我々の責務」のようなことを言っていましたが、なるほどそれについては何一つ達成できていないようでした。
インタビューも数人、エンドロールの参考文献も十冊程度。史料を丹念に洗っている様子も見られず、これで何が描けるのかという気に。先にあったテーマを元に無理に作っているように感じました。
島田に直接的に関わるシーンだけ編集して、資料館などに常設上映などしていれば十分でしょうが、クオリティーはかなり低い映画でした。