クスノキ

Firebird ファイアバードのクスノキのレビュー・感想・評価

Firebird ファイアバード(2021年製作の映画)
4.0
主演二人と監督が来日しての公開初日舞台挨拶付き上映にて鑑賞。

旧ソ連圏で初の同性婚法制化が今年2024年から始まったエストニアが舞台。冷戦時代の旧ソ連占領下での二等兵と将校の同性愛についての、実話に基づく映画。

主人公の二人が、自分と相手の持っている感情について確定させたであろう、あの夜の共同作業のシークエンスがとても印象深く良かった。

写真と映像。舞台演劇と映画。主人公たちにとっての写真が意味するものが、そのまま観客が見つめる映像とリンクして、主人公たちにとっての舞台演劇が、そのまま観客が見つめる映画とリンクする。映画における関連付けがとても巧みに感じられ良かった。

主人公であり実在する人物であるセルゲイが、この作品で描かれる物語が終わったあとも、実際にこの世界を生きて回想録を記した。そしてそれが映画になって、主人公たちと同じ立場にある自分の元まで届いた。という事実について考えて、なんとも言い難い、複雑だけど前向きである感情になった。

主人公たちの行動から、『ファイアバード』という映画のタイトル、ファーストシークエンスとラストシークエンスの意味まで、鑑賞後しみじみと思い考えてしまう、良い映画だった。
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