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Firebird ファイアバードのせっのレビュー・感想・評価

Firebird ファイアバード(2021年製作の映画)
4.3

ソ連占領下のエストニアの軍で出会った、将校とまもなく兵役を終える青年の秘めた恋を描いた話。

私が見た予告は綺麗な海で2人の美男子が抱き合うだけの映像、それ以外の情報を入れずに見たら、それがソ連占領下のバリバリの軍内で行われていたことにまず驚いた。だから美しすぎるエモ描写が、社会主義国だって軍隊であったっていつの時代であったって彼らのような人は必ず存在しているということを強く突きつけているように見えた。

でも一方で、美しすぎるエモ描写は、セルゲイ本人の回顧によって美化されてすぎている表れにも見えた。当時許されなかった愛だったとしても、ロマンのしていることはあまりに自分勝手で、傍から見たらセルゲイは都合の良い愛人に見えなくもないんだよなぁ。

そして、同性愛を認めない刑法は当事者だけでなく普通の女性まで巻き込む。ルイーザは恐らくセルゲイが好きだったけど叶わなさそうだから当てつけか何かでロマンと結婚したから、二人の関係を知った時に二重に傷ついてる。

こんなふうに毎回ゲイ映画に出てくる当て馬的女性を見ていると、同性愛者じゃないからLGBTQについてのことは自分に関係ないと思いがちだけど、案外自分自身にも関わることなんだよね。知らない所で人を傷つけたり、傷つけられたりしないためにも。
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