このレビューはネタバレを含みます
セルゲイはルイーザに向けて「（ロマンについて）君と僕の愛は同じだ」と叫ぶ。たったひとつの台詞だけど、今スクリーン前でみてるわたしやあなたに、それから誰を愛し家族になるか個人に選ばせない社会に向けて、切実さをもって投げかけられている。
ところでロマンの部屋にお邪魔して、この曲知ってる？チャイコフスキー、のところ、あそこで流れてた曲って眠りの森の美女（ローズアダージョ）でしたっけ。いや白鳥の湖だった気がする。
セルゲイとロマンが仲を深めてゆくあたたかみが描かれる一方で、密告盗聴当たり前の監視社会が逃れられない深い影を落とす。
軍隊・兵士・戦闘の描かれ方はどうだったでしょうか。軍事の美化につながりかねない表現は可能な限り抑えてあったように思います。（詳細を描写する必要があるところ以外はなるべくあっさりさせて、その立場の個人がどう振る舞ったかにとどめる）
モスクワで演技を学ぶセルゲイがロマンからの手紙を受け取るあたり、1979年にソ連はアフガニスタンへ出兵した。以前読んだ「亡命ロシア料理」の著者たちがアメリカへ亡命したのは1977年で、完全に同時代でしたわ。
