しべお

a hope of NAGASAKI 優しい人たちのしべおのレビュー・感想・評価

4.1
もっとずっとお話を聞いていたかった。実際に長崎の原爆を体験された皆さんの生の声に勝るものはない。地獄のような被爆後のエピソードだけにとどまらず、進駐軍の思い出や避難先での身内からのいじめ体験など、波乱の人生だった先輩達の言葉は示唆に溢れてる。

そして皆さんが証言されるバックで、その感情の起伏を代弁するかのように流れる「アルパ」(インディアンハーブ)の音楽が効果的で、素晴らしくて印象に強く残った。演奏の小野華那子さんによると、皆さんの証言撮影の取材に実際に同行して制作された音楽とのこと。

さらに、被爆証言だけでない、全編通じて所々に浮かび上がる差別や加害の事実、いじめの理不尽さ、全体主義や密告社会の恐ろしさ、話し合いの大切さ、そしてエンディングで、いつの世も常に最前線で従事する医療関係者への感謝が表される。「戦争とは、人が死ぬこと」という言葉が一番印象的だった。
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