TaiRa

パトニー・スウォープのTaiRaのレビュー・感想・評価

パトニー・スウォープ(1969年製作の映画)
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ポール・トーマス・アンダーソンが言及してから25年くらい経ってようやく日本でも観れた。

オープニングからずっと人を食ったナンセンスなギャグが連打されてて最高だった。社長の馬鹿げた急死から、後任選びに至ってタイトルクレジットが入る流れが凄え洒落てる。とにかく台詞が一々面白い。隙あらばギャグ入れてくる。PTAがダウニーやらピンチョンから影響受けてんのも改めて分かる。広告業界の風刺喜劇で『巨人と玩具』とかと並べたい。おもちゃ銃がどうとか会議で言ってんのも似てたな。『ネットワーク』みたいに上司から理不尽な説教されるギャグも好き。ブラック・パワーも程よく茶化す態度でほぼ全方位を馬鹿にしてる。口煩いブラック・ムスリムとか。ゴリゴリにアングラな態度。ちっちゃい大統領とか何処にでも出て来るフォトグラファーとかいじめられる郵便係とか、変なキャラクターがずっと画面に出続けてる。後のデヴィッド・リンチとかに近い感じもある。とにかくデタラメな連中がデタラメな事を言い続けるだけで面白い映画になってる。台詞で説明されたしょうもないCM企画を具体的に、しかもカラーで見せるあたりも「広告」のインチキ性を見せてて笑った。パトニー役の役者が演技未経験で台詞覚えられないから、ダウニーが全部吹き替えたってエピソードも映画自体のナンセンスなムードを支えてると思う。
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