こぅ

IL GATTO 猫のこぅのレビュー・感想・評価

IL GATTO 猫(1977年製作の映画)
4.0
'21 10/12 正式邦題登録していただきました。

イタリアのルイジ・コメンチーニ監督作品3作目。

冒頭からロング、アップの可愛いニャンコのお散歩ショットが
あたかもこの先を 暗示 したかのようなサービスショットの
連続、、

老朽化したアパートを売却したいと考える兄アメデオ
(ウーゴ・トニャッツイ)と妹のオフェリア(マリアン
ジェラ・ジェラート)。そこへ不動産会社は、[アパートの
全ての住人が立ち退く]という条件でこぅ額買収を提案。
2人はあらゆる手段で立ち退きを企てるが…。

と、基本プロットはハリウッドで撮ったら普通に笑えそうだ
が、そこに猫好きには酷な【不謹慎】が加味されている。
この兄妹は、猫の飼い主でありながら、その安否より(寧ろ
ネタに)[住人立ち退き=10億リラを手に入れる]が最優先
なのだ。

基本はブラックコメディのスタンスながら、事件巻き込み、
巻き込まれ型の二転三転サスペンスでもある。

そのブレンドは、ど真ん中でどちらにも片寄っていない印象。
真面目に不真面目〜という言葉がしっくり。

不謹慎とは言え、作品としてメインタイトルの猫をきっかけに
筋は一本貫いている脚本。

普通には笑える内容なのだが、イタリア故、作風は淡々とした
会話とテンポと【エンニオ・モリコーネ】の癖になるヘンテコ
なタンゴ曲も手伝い、独特のシュールさを生んでいる。

序盤から幼稚な争いをする仲が悪い(ある意味仲良し)兄妹
だが、目的(金)が絡む時は一致団結するのが可笑しい。

妹オフェリア役、マリアンジェラも中々の個性派美人だが、
社長秘書ヴァンダ役、【ダリラ・ディ・ラッツァーロ】もペネ
ロペ似の正統派セクスィ美人。

そのダリラが【フェノミナ】に出ていたのは全く気付かず〜

兄妹との絡みで結果的に行動が毎回裏目に出て署長から怒鳴ら
れるトホホな警視は、良いアクセント。
怪しい2人を兄妹が追ってレストランに入り、オーダーした
ハンバーガーを巡っての【ベタで幼稚】な小競り合いは、
個人的お笑いベストシークエンス‼︎
また、
オフェリアが神父の前では【◯衝動】が抑えられないという
謎の設定も面白い。

終盤、ヴァンダからアメデオへのお別れプレゼントで一件
落着⁈⁈


兄妹を迎える淡々としたオチと、ストップモーションの締めも
良い。
こぅ

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