このレビューはネタバレを含みます
秩序と渾沌(カオス)の入り混じった映画
コーエン兄弟作品はこれが初めての鑑賞。
原作は、コーマック・マッカーシー作『No Country for Old Men(邦題:血と暴力の国)』
原作は未読で本作品鑑賞。
ハビエル・バルデムが演じるアントン・シガーがとにかく怖い。行動一つ一つが淡々としていて、彼の心情が読み取れないのが視聴者の心を不安にさせる。
まさに渾沌(暴力)を体現したような人物。それでいて、彼なりの信条や行動指針(ルール)をちゃんと持っている。
このキャラクター性が渾沌の中に一定の秩序が存在していることを表している感じがしてすごく好きだ。
みんな大好きトミー・リー・ジョーンズが演じている地元の保安官ベルの暴力と血に塗れた国でもがいている姿、結局なす術もなくその世界に飲まれてしまう姿が素晴らしかった。
ベルと叔父の会話シーンが個人的に印象に残ってる。猫もたくさん。
アントン・シガーの劇中最後の登場シーンは、多分、観た人全員驚くと思う。
ベルの夢の話も良かった。
語彙力の少ない私では、言い表すのが難しい作品だが、心に強く残る作品。
グロくシリアスで静かな作品でも大丈夫な方はぜひ見て、ぜひ感想を聞かせて欲しい。