プラナリア

ノーカントリーのプラナリアのレビュー・感想・評価

ノーカントリー(2007年製作の映画)
4.7
フィクションのいかなるサイコ殺人鬼も物語の型からは逃れられない。彼らは何にも囚われず好き放題犯罪を犯しているように見えるが、その実観客を飽きさせないようプロットに配置された「殺人イベント」に従い行動を行い、また観客の納得のために然るべき報いを受けたりする運命にある。しかし本作のハビエル・バルデムはどうだ、人の意志の介在しないランダム性を信奉する彼は、物語が進むにつれて1人の犯罪者から不条理の権化へと昇華され、エンタメ的な必然もあらゆる他者の納得も全てを置き去りにしていく。たとえこれが作り物の映画であっても、少なくとも私にはそのように見えた。

アントン・シガー、まごうことなき人類ベスト殺人鬼だ。
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