ソウル

ライダーズ・オブ・ジャスティスのソウルのレビュー・感想・評価

4.0
物凄く良い意味で裏切られる作品。
プロットの組み立てが一級品で、何より素晴らしいのは各キャラクターにはっきりとした存在意義と役割を与えていること。
ある種の擬似家族ものとも言えるが、そこに異常な執着も感じさせないので見易い。

前に進もうと努力する娘は「タラレバ」に取り憑かれる矛盾を抱え、主人公のマッツは前に進むことを拒否するが、感情のままに復讐をすることで進もうとする。
この構図がかなりよく出来てる。

全ての出来事は偶然の連鎖だが、
同時に予定調和とも言える。
途中ウクライナ人の青年が話した偶然は理解し難いようにも思うが、
結果的に関係のなかったROJを抹消したことで、復讐もただの「勘違い」となり、中身のない殺人、つまり実は関係の無かった熊を殺したという最後の結末と重なるものがある。
ただ、ROJは運が悪く殺された訳ではなく、それまでの悪行から「恐らく犯人」だと推測されたことが原因なため、これはある意味で必然とも言える。指を食べた熊も他の場所で殺されているのかもしれない。

思惑や勘繰りというのは機械では起こりえない。その人間ならではの行動原理が生む出来事の"一部"を見たという感覚。

マッツだけでなく、全役者陣の演技が本当に素晴らしいので注目して欲しい。
エメンタールの役回りは最高です。
ソウル

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