暮色涼風

青森さんちの祝日の暮色涼風のレビュー・感想・評価

青森さんちの祝日(2020年製作の映画)
3.0
鹿児島県の青森さん家の話。

親が登場しない兄弟の中だけで、父、母、子といった家族それぞれの役割の縮図が形成されているのが面白かった。

小道具や衣裳がどうしてもコントっぽくなってしまっているので、美術スタッフがいるともっとリアルな家庭を見せられると思った。
またテーブルの上に小物が全然ないのも生活感に欠ける。
登場人物の中では特に、きっちり家事をこなし一見面倒見の良い母のような存在の兄は、母になりきれていない。
人がビールを飲んでいるのにアテひとつ用意しなかったり、浜辺に水筒を持ってきていても、家族の分は用意せず自分ひとりで飲んでいたりで、母のようなアイコンではあるが、家族への気配りが全くできていないのが気になった。
兄が母に成り代わることはできないということをあえて意図しているのだろうか。

小池監督の『家族のつくりかた』では、人物間の些細なやりとりの中に丁寧な描写がされていたのがとても良かったので、こういったコメディの中でもその繊細な演出を観たい。
暮色涼風

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