ペコリンゴ

消しかすの花のペコリンゴのレビュー・感想・評価

消しかすの花(2020年製作の映画)
4.4
記録。
傷から生まれた贈り物。

U-NEXTで8日まで期間限定配信、つんく♂が立ち上げた「TOKYO青春映画祭」グランプリ受賞の短編作品。これは観逃さなくて本当に良かったと心から思える。

舞台となるのは小学校。6年間通う事になる学舎だ。楽しい事や辛い事、色々な出来事が起こるのは誰しもが知るところ。本作は小学四年生の少年を主人公に据え、子供ならではの残酷さと可愛らしさ、そしてひょっとすると大人にも出し得ない慈愛を描いた18分。

タイトル通り、キーとなるのは消しゴムのカス。今やDeleteキーは何万回と押してるのに、消しゴムなんて久しく手にしてないな。カスまとめて小っちゃなボールとか作ったな。かつて身近であったこのアイテムは即座にあの頃の自分を思い起こさせてくれる。

ちょっとした事がキッカケで変わってしまう関係性、周りに気づかないほどに送ってしまう熱い視線。リアルすぎて悶えそう。意外と近くにあったボーイミーツガールの予感を過去の自分は逃していたのかもしれない、そう思うと恥ずかしいやらほろ苦いやら。そんな所ひっくるめて本当に素敵。

素晴らしい作品をありがとう、若き監督に心からの感謝を贈りたいと思いました。