過去に実際に奇跡認定された実例に触れつつ、現在で奇跡が起きたらどのように人や町に影響するかが描かれていたが、ニュースやネット動画での扱われ方、人々の熱狂の仕方、信仰の深さとは別に商業主義で動く組織など妙にリアル。19世紀の邪悪な存在の封印、聖母マリアを騙るその存在の現代での復活という展開も良い。過去に名声のためにでっち上げ記事を書いて干されたジャーナリストが、奇跡の体現者である少女との交流と邪悪な存在との戦いを経て信仰を取り戻しより良い人になる様も気持ち良い。それなりに人は死ぬし偽の奇跡に振り回された辛さは残るものの、主要人物達が何が大事で何を信じるかを正しく選択したエンディングはハッピーエンドだと思う。ホラー要素の組み立てや理由付け、物語としての展開と帰結にかんしては非常に満足度が高い。
邪悪な存在が造形的には不気味で怖くはあったが、あまりにも物理的なクリーチャーっぽさが強すぎて、若干「これじゃない」感を感じその点だけが少し残念。
