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鬼平犯科帳 血闘のodyssのレビュー・感想・評価

鬼平犯科帳 血闘(2024年製作の映画)
4.0
【中村ゆりさん、おめでとう!】

私は中村ゆりさんのファンである、
彼女は、「パッチギ! 2」(2007年)で映画デビューしたのだが、あの映画自体は上出来とは言えなかったものの、ヒロインを務めた中村ゆりさんの魅力はきわだっていた。

ところが、その後の中村ゆりさんは雌伏を強いられる。
映画にはしばしば登場していたのだが、メジャーな映画ではちょい役であり、主役の場合はマイナーな、出来栄えもイマイチな作品に限られていた。

中村ゆりさんのような魅力的な美人女優を主役に採用しない日本映画界はバカだ、と私はずっと思っていた。所属事務所の力関係か何かからだろうか。

しかし、この『鬼平犯科帳』での中村ゆりさんは、堂々のヒロインを演じている。
そしてそれが中村ゆりさんの持ち味にぴったり一致していることが、貴重なのである。

そう、これは中村ゆりさんのためにあるような映画なのである。
主役の男のために尽くすという設定は、一見すると古いように見えるかも知れないが、本人の主体的な行動という視点からすれば、決して古くはない。

そう、時代劇というものは、現代の価値観を活かしながら、時代劇の様式にもマッチするように作られるものだ。
この映画では、鬼平の奥方が、夫の仕事の場面に出ていることがその典型。
本来なら、江戸時代にこういうことはアリエネー。
でも、令和の時代の時代劇ならこれでいいのだろう。

そして、そのことがラストへの伏線になっているのだから、脚本の出来栄えを褒めるのが、時代劇ファンの務めではなかろうか。
私は前期高齢者だから、時代劇が最近衰退していることに危惧の念を抱いているけれど、若い人がこの映画で時代劇の魅力に目ざめてくれたら、と思う。
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