爆裂BOX

デス・アプリ 死へのカウントダウンの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

3.4
死者の姿が見えるようになり、やがて死者に命を奪われる呪いのアプリの恐怖を描いたイタリア産のオカルトホラーです。
女子大生のアージアは自分の携帯の中に入れた覚えのないアプリを見つけ、それが勝手に起動。カメラが立ち上がり、カメラを通して死者の姿が見えるようになる。更に24時間のタイマーが起動し、制限時間を過ぎると死者によって命を奪われてしまうと気づき…というストーリーになっています。
イタリア製作ですが、「リング」と「イット・フォローズ」の影響を強く感じさせる作品ですね。「霊が見えるようになるカメラアプリ」が何時の間にか携帯に仕込まれ、24時間以内に別の人間のスマホにアプリを入れなければ死んでしまうという設定で、定期的にアプリが勝手に起動し、カメラを通して周囲にいる霊の姿や、残り時間のカウントダウンを知らせてきます。スマホ版「着信アリ」とも言えるかも。
カメラを通して部屋を見るといるはずのない少女や老人、中年女性の姿が映るという心霊描写や恐怖演出は結構不気味でいい感じでした。あまりジャンプスケアは使わずにどちらかというとJホラーっぽい肌触りがありますね。遠くから男や女がゆっくり歩いて近付いてくる演出はモロ「イット・フォローズ」過ぎて苦笑しましたが、でも不気味ではあります。カメラを通すと主人公以外の人間にも見えるけど、皆そういう恐怖アプリと思って能天気に楽しんでる所もリアルっちゃリアルですね。やがてカメラを通さなくても主人公の目には霊が見えるようになりますが、他者の理解を得られずに主人公が精神的に追い込まれていく描写も良かったんじゃないかな。犠牲者の死に顔も「リング」っぽい。グロ描写は無いのでグロ苦手な人も見れますね。
自分が助かるためには他人に移すというのも「リング」や「イット・フォローズ」と同じですが、本作はほぼ無理ゲーな難易度設定になっています。まず、他人にスマホ借りてロック解除して貰って、自分で操作してダウンロードして終わったら相手に返すという作業しなきゃいけないようで、この時点で高難易度ですが、他人に移したら、その相手が死ぬまで自分に帰ってこない「イット・フォローズ」と違って24時間伸びるだけなので、毎日上記の作業しなきゃいけないという「絶対無理でしょ」となる設定。実際、主人公に移した男やその男に移した女結局やられちゃいますし。しかもスマホ買い替えたり壊したりしたら一気にカウント減って終わりというルールまでありますし。とどめにこのルールや条件ネットのダークウェブまで潜らないと手に入れる事が出来ないという、普通の人達はなすすべなく死ぬしかありません。主人公は好意持ってる男友達の友人がネットに詳しいから知れたけど。主人公の義姉とか他の人は何処から情報仕入れたんだろ?
こういうカウントダウン付きの呪いの話では、主人公が誰がこのアプリを作ったのかや呪いの元凶探ったりするものですが、この主人公は基本的なルール知った後はほぼ諦めてヒステリックに泣き喚いたりしかしないんですよね。義姉にもっと情報聞いたりしたらいいのに。「私は誰も犠牲にしない」って言うならもっと足掻いてほしかったですね。
主人公が好意持ってる男友達も、主人公の事親身に心配するけど結局役に立ちませんでしたね。しかも、あれだけ調べて協力してくれた友人に八つ当たりしたり酷い態度とるのでイラついてどうにも好感持てませんでした。あの友人が一番頑張ってた気がします。っ最初の方に出てきた主人公の女友達、ノリは軽いけど主人公の事応援してていいキャラになりそうだったのに、誤解から喧嘩して旅行に行ってそのまま出てきませんでしたね。
最後の主人公の決断は「誰かを犠牲にして生きたり死者に殺されるくらいなら…」という事なんだろうけど、結局何の解決にもなってないですよね。バッドエンドにしてもそれまでに主人公には足掻いてほしいけど、この主人公ロクに抗ったりせずに終わっちゃったな…という印象ですね。義姉のその後も描かれないし。
話に雑さや粗さはあるものの、ホラー演出はそれなりに不気味さ感じれて、評判の悪さと違って個人的には普通に楽しめはしましたね。