ヒノモト

Ribbonのヒノモトのレビュー・感想・評価

Ribbon(2021年製作の映画)
4.7
のん監督脚本編集主演作品を観てきました。

コロナ禍真っ只中の物語。
美大の卒業制作展が中止となってしまうところから始まるのですが、クリエーターとしての目線が、芸術やエンターテインメントに対する存在意義、その人の立場によってはゴミにも見えるし、次への活力にもなり得る想像力の可能性を前向きに感じさせるストレートな想いがいっぱい詰まった作品でした。

自粛期間やソーシャルディスタンス、マスクや消毒などを意識的に作劇に取り入れて、日常化する現在進行形の世の中に対して、誰の目にも響きはあるし、家族に対しての距離感すらも笑いとシニカルさを同居させて、物語の緩急をつけている点においても、面白味を十分に含んでいて、会話劇としても楽しませてくれる。

主人公いつかの心情のメタファーとして所々で現れるリボンの表現もCGではなく特撮を使うことでリボンの持つ柔らかさが描かれているとも感じました。

のんさんはもちろんのこと、友人の山下リオさんとの共鳴もよかったですし、前作「おちをつけなんせ」でも出演された春木みさよさん、菅原大吉さんの両親としてのバランス感、さらに妹役の小野花梨さんのトリッキーな妹感も感性が素晴らしく、配役の配置も絶妙に感じました。

今後はどうなっていくかはわかりませんが、今という時間軸の中で、こういう作品を残されるというのは大事なことであると思うし、特にクリエーターとしての響きは絶大。

作中に出てくる絵画や造作物も含めて、のんさんのこだわりがぎゅっと詰まった、のんさんらしい作品になったと思いますすし、満足度も高いと思いました。
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