慈

Ribbonの慈のネタバレレビュー・内容・結末

Ribbon(2021年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

この状況下だからこそできた物語。そして絶妙な能年玲奈ちゃんの世界観。強い想いを持って作品作りに取り組む芸大生のこと、多くの方に知っていただく機会になったのかと思うと、悔しさ、不甲斐なさが少し軽くなりました。
リボンの演出はいつかの心情を表しているようで、不安定になったり、ふわっと浮かんだり、作品に対して真っ直ぐ刺さったり。最後の部屋いっぱいのリボンを見て、いろんな想いがこもっていること、よく伝わりました。
このribbonという1つの作品を手掛けた能年ちゃんにありがとうを言いたい。

⚫︎以下は、記録として

コロナが流行り始めた2020年冬。当時大学4年生。わたし自身も美大生でした。予想を遥かに超える事態に混乱する大学、運営チーム。延期?オンライン?短期間に多くの判断が求められました。でも、「中止」の2文字はなかった。もちろん人数などの制限は有りましたが、誰かに見てもらうことができた。日の目を見ぬままの作品を自分の手で壊す、そんなことはなかったんです。「開催できて、見てもらえてよかったね」と笑って話せた3年前。
でも、もし中止になっていたら?
自分の作品を心から愛すことができていただろうか。頑張ってよかったなって素直に思えていただろうか。かけてきた時間も想いも無駄じゃない、だけど目の前にある作品が価値のないものに見えてしまったはず。
それくらい、真剣なんです。
腰に巻いたつなぎも、顔についた絵の具も、梱包した作品と無造作に貼り付けた養生テープも、ぜんぶぜんぶ懐かしかった。

能年玲奈ちゃんの全力演技、ホットロードのときと何も変わってなくて可愛かった。山下リオちゃんみたいなクールでかっこいい同級生、いたな。渡辺大知のダサカッコイイ安定のあの感じ。今後の活躍に大期待の小野花梨ちゃん。キャストも抜群でよかったです。

5.0は主観でしかないですが、振り返るきっかけをくれたので。
慈