これは意外とよかった。かなりの拾い物と言ってもいいかもしれない。
第一幕のセッティングで「ああ、このパターンね」となり、第二幕の展開も「見た見た。こういうの最低100本は観たわ」と思って、かなり力を抜いて観ていた。
解決篇の第三幕で「生い立ちに迫る展開」になっても、すべて既視感しかない。
と思ったら、その後の展開が素晴らしすぎた。
「いつものパターン」だと、ヴィランはただのサイコパスで、「ぶっ殺してハッピーエンディング!」になるじゃないですか。
でも、グレイスちゃんはそこが全然違うくって、見てて本当に可哀想になってくるのです。
「こんな子、殺せないよ~。そんなことしたら、後味悪すぎるよ~」ってなってたら、そこへは話を落とさない。
翻って、予想もしてなかった優しいエンディングを迎えるのですよ。
これは泣いた。サイコものでこんな優しい終わり方されたら泣くわ。
だいたい、こういうジャンルもので、エンディングが長いのは駄目な映画が多いのですよ。
でも、本作はその長さこそが嬉しい。
楽しい家族を描いて~、親友への贈り物を仏前(?)に捧げて~、病院も訪ねて~、「よし、ここで終わりだ。病室からカメラが後退してフェードアウト! で決まり!」と自分の中の最高パターンを先読みしてたら、まだ続くんだ。
病室出ぇの~、病院ティルトアップしての~。
「いや、そこはもはや蛇足だろ!」と思ってたら、最後に「THE END」って最近なかなか見ない文字を出してくれたんで、ニコっとなって、さらに評価があがりました。
青空で終わってくれたので、文字通り晴れやかな気持ちになりました。
ただ、ね。「THE END」の文字にオープニングと同じ処理掛けるのはやめてよ。あの、「セブン」的なやつね。
そんな不穏なのいらない。晴れやかに終わってよね。
だから、そこだけ減点しときますね。
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その「蛇足」について追記しておこう。
あれは何パターンかに解釈できるオープン・エンディングでしたね。
こういう場合作り手の「正解」はないことが多いので、みんなでワイワイ語り合って楽しむこと自体が「正解」ですね〜。